とおいむかし、シチリアの古代の山奥でクマの王レオンスと息子トニオは平和に暮らしていた。ところがトニオが猟師に連れ去られたために、レオンスは息子を探し、仲間とともに雪山を下りて人間の街へ……。
山々に囲まれたクマの里の牧歌的な風景は、サスペンスが加速するにつれ、色鮮やかに輝き出す。雪山を滑り降りるクマ軍団の躍動感!魔法使い、人喰いトロル、化け猫、古城の幽霊……。レオンスたちが立ち向かう冒険に胸踊らされ、溢れる詩情に酔わされる82分!
2019年のカンヌ国際映画祭ある視点部門と同年アヌシー国際映画祭にて公式上映された本作は、Rotten Tomatoで脅威の批評家満足度100%を獲得。フランスの公開時には「華やかな色彩が詰まった、宝石のような映像詩」と絶賛された。その原作は、イタロ・カルヴィーノと並んで20世紀イタリア文学を代表する作家ディーノ・ブッツァーティが書き上げた童話。彼自身によるイラストとともに、ファンタジックなエピソードが次々と展開する児童書は、ヨーロッパでは半世紀以上にわたって読み継がれているロングセラーだ。
山々に囲まれたクマの里の牧歌的な風景は、サスペンスが加速するにつれ、色鮮やかに輝き出す。雪山を滑り降りるクマ軍団の躍動感!魔法使い、人喰いトロル、化け猫、古城の幽霊……。レオンスたちが立ち向かう冒険に胸踊らされ、溢れる詩情に酔わされる82分!
2019年のカンヌ国際映画祭ある視点部門と同年アヌシー国際映画祭にて公式上映された本作は、Rotten Tomatoで脅威の批評家満足度100%を獲得。フランスの公開時には「華やかな色彩が詰まった、宝石のような映像詩」と絶賛された。その原作は、イタロ・カルヴィーノと並んで20世紀イタリア文学を代表する作家ディーノ・ブッツァーティが書き上げた童話。彼自身によるイラストとともに、ファンタジックなエピソードが次々と展開する児童書は、ヨーロッパでは半世紀以上にわたって読み継がれているロングセラーだ。
この原作を、幻想的な色彩とユーモラスなキャラクターたちの生命力あふれるアニメーション映画として完成させたのは、フランス在住のイタリア人アーティスト、ロレンツォ・マトッティ。雑誌「ザ・ニューヨーカー」の表紙などを手がけるイラストレーターとして活躍し、バンデシネ作家としても知られる。絵本にアニメにと領域を広げてきた彼は、建築学と伝統の西洋美術に裏打ちされた確かな画力と、赤・緑・青の色彩のグラデーションが特徴的だ。彼の中に息づく2Dならではの映像を、絵画や映画に影響を受けたグラフィカルな表現でダイナミックに躍動させ、観客を物語の世界に引き込んでゆく。
脚本には、『ゴールデン・リバー』などジャック・オディアール監督とのコンビでも知られるトマ・ビデガンと、ジャン=リュック・フロマンタルが加わった。音楽は、映画音楽のほか、ピナ・バウシュ、フィリップ・ジャンティらの舞台音楽で名高いルネ・オーブリー。イタリア、フランス・アートの粋を集めた本作の制作に当たったのは、故・高畑勲監督がアーティスティック・プロデューサーを務めた作品『レッドタートル ある島の物語』を手掛けたプリマ・リネア・プロダクションズ。
ブッツァーティが1945年に発表した原作は、人間をクマになぞらえ、普遍的な教訓も語っている。暴君を倒した解放者として迎えられた新王の目はいつしか曇り、王国の混乱へと転調する示唆に飛んだ『シチリアを征服したクマ王国の物語』。マトッティ監督は、今回の映画化に際し、男ばかりの物語に原作にない少女アルメリーナを描き込み、破滅へと突き進む者たちの過ちや弱さを嗅ぎ分ける聡明で勇敢な少女に希望を託した。同時に、自分自身のアイデンディを見つめることと、異なる文化との共存、共生の難しさと大切さを、興奮と感動の中に描き出来した珠玉作が満を待してスクリーンに登場する。
脚本には、『ゴールデン・リバー』などジャック・オディアール監督とのコンビでも知られるトマ・ビデガンと、ジャン=リュック・フロマンタルが加わった。音楽は、映画音楽のほか、ピナ・バウシュ、フィリップ・ジャンティらの舞台音楽で名高いルネ・オーブリー。イタリア、フランス・アートの粋を集めた本作の制作に当たったのは、故・高畑勲監督がアーティスティック・プロデューサーを務めた作品『レッドタートル ある島の物語』を手掛けたプリマ・リネア・プロダクションズ。
ブッツァーティが1945年に発表した原作は、人間をクマになぞらえ、普遍的な教訓も語っている。暴君を倒した解放者として迎えられた新王の目はいつしか曇り、王国の混乱へと転調する示唆に飛んだ『シチリアを征服したクマ王国の物語』。マトッティ監督は、今回の映画化に際し、男ばかりの物語に原作にない少女アルメリーナを描き込み、破滅へと突き進む者たちの過ちや弱さを嗅ぎ分ける聡明で勇敢な少女に希望を託した。同時に、自分自身のアイデンディを見つめることと、異なる文化との共存、共生の難しさと大切さを、興奮と感動の中に描き出来した珠玉作が満を待してスクリーンに登場する。